事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ブライアン・デ・パルマ『ドミノ 復讐の咆哮』

ブライアン・デ・パルマ8年ぶりの新作という事で、少しぐらい出来が悪くても、何だかんだとデタラメを並べて「全ての映画ファンが観るべき10年に1度の傑作!」ぐらいのハッタリをかまそうと―何しろ、俺の映画評はそんなのばっかりだから―身構えていたのだが…

ジョナサン・レヴィン『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』

これって結局、『アメリカン・プレジデント』を引っ繰り返しただけじゃないの?あっちも政治と環境保護がモチーフになっていた気がするし…ここ最近、例えば『オーシャンズ8』とか『ゴーストバスターズ』とか、オリジナルのホモソーシャルな世界観をそのまま…

ジョン・バリンジャー『テッド・バンディ』

法律家になる事を夢見てロースクールに通う好青年テッド・バンディは、ワシントン大学の医学部職員でシングルマザーのエリザベスと恋に落ちる。彼女の娘ともすぐに打ち解け、幸せな日々を送っていたテッドだったが、ある日ソルトレイクシティで起きた誘拐未…

アレクセイ・シドロフ『T-34 レジェンド・オブ・ウォー〈ダイナミック完全版〉』

『マトリックス』で使用され、話題を呼んだ「バレットタイム(被写体の周囲にカメラを並べ撮影する事で、低速ないし静止した被写体を中心にカメラアングルを動かすSFX技術)」は、準備に手間が掛かり過ぎるのと、撮影現場での柔軟な変更が難しい事もあって、…

ユホ・クオスマネン『オリ・マキの人生で最も幸せな日』

16mmのモノクロフィルムを使ってワンシーン・ワンカットで撮影したら「これはヌーヴェルヴァーグへのオマージュだ!」という事になって、カンヌで賞を貰えたりするんだから、チョロいもんだよな。IKEAの家具を揃えて「北欧風でお洒落~」とか言ってる馬鹿が…

ライアン・ジョンソン『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でえらい目に遭った(私は観ていないので何とも言えないが…)ライアン・ジョンソンの新作は、アガサ・クリスティにオマージュを捧げた本格ミステリーである。大富豪が謎の死を遂げ、遺された資産をめぐって親族(=容疑…

ローリーン・スカファリア『ハスラーズ』

実際にあった事件を脚色して映画化、というのは珍しくも何ともないが、調べたところ別に原作となったルポルタージュやノンフィクションがある訳ではなく、ニューヨークマガジンに掲載された2015年の記事を元にしているらしい(劇中にも、女性記者が主犯格の1…

布施ラインシネマのラストショーが素晴らしすぎる件について

私は奈良県という文化的後進地域(しかも、そこに住んでいる大半の人間は自己中心的で身勝手な白痴同然のクズ)に居を構えているので、映画を観るにもそれなりの手間が掛かる。もちろん、大型ショッピングモール(家畜の如く飼い慣らされた安倍政権支持のウ…

セルジオ・コルブッチ『続・荒野の用心棒』

そういや『続・荒野の用心棒』って観た事なかったな、と最近公開されたデジタル・リマスター版を鑑賞してきた。やっぱり、イタリアの低予算娯楽映画は良いなあ、というのが率直な感想。作り手の志が高いのか低いのか、よく分からないんだよね。黒澤明の『用…

サメフ・ゾアビ『テルアビブ・オン・ファイア』

まず、歴史的事実を確認しておこう。第1次大戦後にイギリス委任統治領として創設されたパレスチナは、当初はアラブ人を中心とする国であった。しかし、第2次世界大戦後にユダヤ人が大量に流入してくる様になる。結果、シオニズムに押された国連でパレスチナ…

ケン・ローチ『家族を想う時』

「いやあ、ケン・ローチの映画って初めて観たけど、なかなか考えさせられるテーマで面白かったなあ。ついでに他の作品も観てみるか。よし、AmazonでDVDをポチーッと!」待て待て待てーい!お前はこの映画の何を観てたんだ!そのアマポチしたDVDを誰が運んで…