2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧
「葬送」から「越境」へー自らの弱さを引き受けること クリント・イーストウッドの映画について語る時、どうしても彼の年齢に触れざるを得ない。何しろ、御年91歳である。もちろん、100歳を過ぎても映画を撮り続けていたマノエル・ド・オリヴェイラみたいな…
前2作のデタラメさは後退し、歴史活劇として落ち着いた仕上がりに このシリーズを心待ちにしている人ってどれぐらいいるんだろうか…正直、私は前作の『キングスマン:ゴールデン・サークル』でお腹いっぱい、という感じだったのだが、プリクエル的な位置づけ…
1作ずつの感想もやっと書き終わったところで、2021年の個人的ベスト10を残しておく。今年、映画館で観た作品数は66本。何と、昨年より10本近く減ってしまった。私が出不精なせいもあるが、ゲームや漫画、サブスクのウィッシュリストなど、映画の他にも積み残…
現実の模倣をやめたフィクションだけが、私たちを真に勇気づけてくれる 何という素晴らしさ…一見すると非常に芝居がかった、わざとらしささえ感じる登場人物たちの言葉のひとつひとつが、胸に沁み通り、心に豊かな感情が満ち溢れていく。可笑しさや哀しさ、…
虚構と現実が喰い合うウロボロス的世界は誰の為に作られたのか 私は『マトリックス』については1作目だけをレンタルビデオで観て「ふーん」と思って終わり、という感じだったので、このシリーズが映画史に与えたインパクトとその後の影響については認めると…
よりよい世界を目指して闘う男が、その世界から疎外されてしまう不条理さ 「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)」及び「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)」と呼ばれる有機フッ素化合物は、水や油をはじく、熱に強い、といった性質から、撥水剤や消火剤、…
二重写しで描かれる過去と現在で、変わったものと変わらないもの エドガー・ライトがつまらない映画を撮る訳がないのは誰でも知っている。あらゆる年代のジャンル映画に精通した映画オタクでありながら、その知識を詰め込んで終わり、ではなく、そこにフレッ…