事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

高橋ヨシキ『激怒』

製作者の怒りは伝わるが、それを作品化する為の手段が安易に過ぎる うーん…私はデザイナー、映画評論家としての高橋ヨシキ氏の事は信頼しているし、共同脚本を務めた『冷たい熱帯魚』も非常に良い作品だと思っているが、これはいくら何でもチープ過ぎやしな…

ジョーダン・ピール『NOPE/ノープ』

映画史から抹殺された者たちによる西部劇奪還の試み ジョーダン・ピールの仕事は映画、ドラマ共に大部分をフォローしているつもりだけど、この『NOPE/ノープ』に至ってはうーむ、端倪すべからざる人になっちゃったなあ、という印象。本作のテーマは序盤から…

バンジョン・ピサンタナクーン『女神の継承』

疑似ドキュメンタリーの手法を最大限に活かしたエクソシズム・ホラー いやあ、これは凄いね。原案と製作がナ・ホンジンという事もあって、エクストリームな仕上がりを予想していたものの、ここまでとは思わなかった。期待をはるかに超え、『哭声/コクソン』…

タイ・ウエスト『X エックス』

『悪魔のいけにえ』+『ドントブリーズ』+『ブギーナイツ』=X 相変わらず絶好調が続くA24の新作は、タイ・ウエスト監督による回春ホラー(そんなジャンルあるのか?)。当初から三部作になる事が発表されており、公開当初は二作目の予告編がエンド・クレジッ…

ヨアキム・トリアー『私は最悪。』

何度も選び間違いを繰り返して、私はいまここに立っている 会社の同僚が適応障害により休職する事となった。私の仕事そのものには何も影響はないのだが、本来自分こそ休職すべき人間ではないのか、という気がして仕方がない。とにかく、毎日何をするのも嫌で…

ジョー・カーナハン『炎のデス・ポリス』

70年代アクション映画へのオマージュに満ちた快作 主人公の女警官ヴァレリーが手にする44マグナム。劇中で挿入される『ダーティ・ハリー』のテーマ曲。深夜の警察署を舞台に繰り広げらる警官と殺し屋たちの攻防はジョン・カーペンター初期の傑作『要塞警察』…