事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

今こそ!春の伝染病映画祭り

せっかくの春休みだというのに、新型コロナウイルスの影響で、ライブやスポーツ観戦など大型イベントの中止が相次いでいます。一部の都市では週末の外出について自粛要請まで出されている事もあり、休日なのにどこにも出掛けられない、と嘆いている方も多い…

ラジ・リ『レ・ミゼラブル』

1960年代にフランス政府が労働力確保の為に実施した旧植民地からの移民受け入れ政策に伴い、都市郊外には移民向けの住居として低所得世帯用公営住宅団地が数多く建てられる事になった。しかし、移民たちをめぐる社会的環境は厳しく、貧困や差別に晒された彼…

ルパート・グルード『ジュディ 虹の彼方に』

演劇畑のルパート・グルードが監督した『ジュディ 虹の彼方に』は、正確な意味での伝記映画ではない。ジュディ・ガーランドについて何の知識もない人が、かつての大スターの生涯について詳しく知りたいと思って本作を観に行ったとしても、期待を裏切られるだ…

クリス・サンダース『野生の呼び声』

原作はジャック・ロンドンによる冒険小説の古典的名作である。その為、今まで何度も映像化されているのだが、私はそれら過去作品を1本も観た事がない。本作を鑑賞する前に予習をしておくかと思い立ち、ネットで調べたところ、どの配信サービスでも見当たらな…

ビー・ガン『ロングデイズ・ジャーニー この世の涯てへ』

映画の途中で2Dから3D映像に切り替わるという、一風変わった構成が話題になっているらしいので、私は普段3Dで映画は観ない(割増料金を払う程、金銭的な余裕が無い為)にもかかわらず、わざわざ3D上映が実施されている映画館にまで行ってきた。しかし、窓口…

HIKARI『37セカンズ』

映画の冒頭、トイカメラか何かで写した様な、ミニチュアめいた東京の街並みが俯瞰ショットで映し出される。その不思議に現実感を欠いた風景が、リアリティとファンタジーのない交ぜになった、本作の不思議なトーンを初めから提示しているのだ。だからこそ、…

アリ・アスター『ミッドサマー』

この企画、そもそもはスウェーデン側から持ち込まれたものらしいが実際に出来上がった映画を観て、お偉いさんが怒ったりしなかったのかね。「テメエ、人様の国を何だと思ってんだ!」とか…まあ、それはともかく『ヘレディタリー/継承』が世界中で大絶賛を浴…

サム・メンデス『1917 命をかけた伝令』

作品賞は逃したものの、アカデミー賞の3部門を受賞した本作、世間では「全編ワンカット映像」という謳い文句で話題になっている。もちろん、これだけ大規模な映画で本当に「全編ワンカット映像」など実現できるはずもない。実際は、複数の長回し映像をCG処理…