事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

渡部亮平『哀愁しんでれら』

エクストリームな結末へと着地する「幸福」をテーマにした現代の童話 監督の渡部亮平はどちらかというと脚本畑の人で、これまで数多くのTVドラマや『3月のライオン』『ビブリア古書堂の事件手帖』といった劇場用映画の脚本を手掛けてきた。映画監督としては2…

カーロ・ミラベラ=デイヴィス『Swallow/スワロウ』

「家」に取り込まれ、やがて「異物」として排泄される「妻」の復讐劇 本作のモチーフとなっている異食症は、爪とか髪の毛とか石とか、とにかく栄養価の無いものを無性に食べたくなる症候で実際に存在するそうだ。そういえば私も一時、爪を噛む癖が治らなかっ…

ロバート・ハーモン『ヒッチャー ニューマスター版』

『ヒッチャー』は、狂った殺人鬼がもたらす理不尽な恐怖を描きながら、最終的には被害者=犯人という分裂的な地平へと辿り着く アメリカの映画だとヒッチハイクのシーンって結構あるじゃん?いつも思うんだけど、何で見知らぬ人間を平気で自分の車に乗せたり…

ジャガン・シャクティ『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』

宇宙開発事業を成功に導くのは、浮世離れした天才たちでも何でもなく、私たちと同じ様に日々の暮らしを営んでいる人々なのだ ついこのあいだ、日本の宇宙探査機「はやぶさ2」が小惑星の砂を回収し無事に地球へ戻ってきた。大変にめでたい事ではあるが、何せ…