事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ナタリー・エリカ・ジェームズ『レリック―遺物―』

あなたの知らない間に、親たちはゆっくりと変質していく タイトルを見て、ピーター・ハイアムズが昔撮ったクリーチャー・ホラーのリメイクかな?と思った方は悪しからず。日系オーストラリア人の女性監督ナタリー・エリカ・ジェームズのデビュー作は、ジャン…

リサ・ジョイ『レミニセンス』

忘却と追憶―「水」の両面性が、登場人物たちの運命を左右する この映画、予告編や公式サイトでは『インセプション』との類似をほのめかしつつ、クリストファー・ノーランの弟であるジョナサン・ノーラン制作という点を大きくアピールしていて、監督、脚本を…

M・ナイト・シャマラン『オールド』

オチの出来不出来に左右されない美点がシャマランの映画にはある筈だ 大傑作『ミスター・ガラス』で自身のキャリアを総括したM・ナイト・シャマランの新作は原点回帰とも言うべき、ラストに驚愕の真相が待ち受けるサスペンス/スリラーである。原作は、ピエー…

濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』

テクストを読む、という行為を通じてゆるやかに織り上げられていく物語 本作はカンヌ国際映画祭で日本映画としては史上初となる脚本賞の栄誉に輝いた。原作は『女のいない男たち』と題された、「いろんな事情で女性に去られてしまった男たち、あるいは去られ…