事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

白石和彌『死刑にいたる病』

自由に生きようとする意志を嘲笑う悪意 祖母の死をきっかけに帰郷した大学生、筧井雅也はある日、死刑判決を受けた連続殺人犯、樫村大和からの手紙を受け取る。大和は雅也が中学生の頃に行きつけだったパン屋の主人だった。郷愁に誘われ面会に訪れた雅也に大…

ハンナ・ベルイホルム『ハッチング ー孵化ー』

新鮮味に乏しいホラー映画だが、母親役の怪演は一見の価値がある 『ミッドサマー』のヒットを受けてだろうか、北欧産のホラーという点をアピールポイントにしている本作だが、映画そのものに北欧らしさはまるで感じられない。じゃあ北欧らしさって何なの?と…

ギレルモ・デル・トロ『ナイトメア・アリー』

獣人としての運命を決して受け入れてはならない ここ最近、映画の感想を書くのをさぼりがちで、確かこの映画を観たのが3月末だから既に2か月近く経っている。老化の著しい私の脳みそは本作の内容をほとんど覚えておらず、この記事を書くにあたってネタバレあ…

レオス・カラックス『アネット』

走り続けろ、過去に追いつかれないように これまで観た映画の中でベスト3を選べ、と言われればレオス・カラックスの『汚れた血』は必ず入る。それぐらいに好きな作品なのだが、カラックス作品というと後は『ポンヌフの恋人』ぐらいしか観ていない。そういえ…

アスガル・ファルハーディー『英雄の証明』

ファルハーディーのエンターテイナーぶりがいかんなく発揮された秀作 義兄から借りた金が返済できず、刑務所に収監されたラヒムは2日間の休暇を得て仮出所する。彼が遺跡の保存作業に従事する姉の夫ホセインに会う為、クセルクセス王の墓に赴く場面から映画…