事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

布施ラインシネマのラストショーが素晴らしすぎる件について

私は奈良県という文化的後進地域(しかも、そこに住んでいる大半の人間は自己中心的で身勝手な白痴同然のクズ)に居を構えているので、映画を観るにもそれなりの手間が掛かる。もちろん、大型ショッピングモール(家畜の如く飼い慣らされた安倍政権支持のウスノロどもが財布を握りしめて押し寄せる、一歩足を踏み入れただけで吐き気をもよおす経済的屠殺場)の中にシネコンは入っているが、それだけで観たい映画が全てフォローできる訳もない為、仕方なく大阪の映画館にまで行かなければならない。
奈良と違い、大阪にはたくさんの映画館が存在するが、その中でも私が愛用していたのが、東大阪市の布施駅前にある「布施ラインシネマ」である。大手のシネコンが次々と値上げに踏み切る中、年会費1,500円を支払えば、いつでも映画が1,000円で観られる(その上、6本観ると1本タダで観られる)、という会員サービスを設けつつ、会員以外の客に向けてもお得なサービスデイを数多く用意していて、とにかく映画を安く、より多くの人に観てもらおうという姿勢の感じられる素晴らしい映画館だった。ラインナップも基本的にはハリウッドの大作映画を中心としつつ、ミニシアター系の映画も取り混ぜた、なかなかバランスの取れた構成なのだ。
その布施ラインシネマが、今年の2月をもって閉館してしまう。ネット配信の普及や人件費などのコスト増で既存の映画館が苦境に立たされている事は理解していたが、まさにその事実を思い知らされる様で非常にショックを受けた。こんなに良心的な映画館が潰れてしまう傍ら、世の中には法に触れていないからと薄汚い商売で荒稼ぎをしている連中がごまんと存在する。「映画秘宝」の休刊もそうだが、利益最優先の大企業の論理によって庶民の娯楽が次々に奪われ、その利益によって献金を受けた政治家どもがどんどん肥え太っていく、猛スピードで世の中が荒廃する現状に絶望的な気分になってくる。全国の映画ファンよ、今こそ結集せよ!暴利を貪るクソ企業とクソ政治家を血祭りに上げろ!国会議事堂に糞便をまき散らせ!
まあ、それはともかく「布施ラインシネマ」が閉館に伴い、これまた粋な企画を実施しているので、その紹介をしたいのだった。映画事業開始87年を迎えての閉館という事で、何と87本にも及ぶ国内外の名作を週替わりで上映しているのだ。しかも、鑑賞料金は一律1,000円。これを偉業と言わずとして何と言おう。それだけでなく、リンク先から確認して頂きたいが、87本のラインナップが本当に素晴らしいのである。『昭和侠客伝』と『ゼイリブ』と『気狂いピエロ』と『逃走迷路』と『ドラえもん のび太の宝島』と『恐怖分子』を一緒くたに上映する映画館がこの世に存在するだろうか?こういうコンセプトで、これからも営業し続けて欲しいぐらいだ。まあ、商売にならないだろうが…
時間的、金銭的事情により、1月末から始まったこの企画に私は参加できていなかったのだが(そのせいで『昭和侠客伝』を見逃した)、先日やっとルイス・ブニュエルの『昼顔』を観に行けた。いやあ、素晴らしかったなあ…この題名を抜け抜けと「オマージュです」とかいってパクりながら、クソつまらんドラマを作ったフジテレビの社員は全員死ね、と言っておきたい。フジテレビのコンテンツとは真逆の、陰惨さと間抜けさが入り混じった、まさにブニュエル的としか言いようがない豊かな空間。それをこのご時世に映画館のスクリーンで拝めるとは…更に、DVDか何かで観たと思い込んでいた『昼顔』を、実は今まで未見だった事に気づかされた。このブログで偉そうにお勧めしていた気もするが…
とにかく、関西在住の映画ファンは必ずこの映画館に駆け付けるべし、と声を大にして言いたい。また、好きな映画のタイトルをメモに書いて応募すると、そのメモで映画館の壁一面を飾ってくれる、という企画も実施されている。とりあえず、私は『汚れた血』と書いて応募したが、今度行く機会があったら『食人大統領アミン』と書こうと思う。