事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ『レヴェナント:蘇えりし者』

 

劇場にて鑑賞中、中座する女性がやたらと多く、おしっこぐらい映画の始まる前に済ましておけないのか、と腹が立ったのだが、ゴアシーン満載、生肉臓物てんこ盛りの映画だったので気持ち悪くなったのだなあ、と後から気付いた次第。普段からグロいゾンビ映画を見慣れているので全く気に留めなかったが、ディカプリオのアカデミー受賞作という事で観にきた女性には刺激が強すぎたのだろう(そういえば、ディカプリオが馬の腹を裂いた途端、臓物がでろでろでろ、と飛び出してくる場面でウォーホルの『悪魔のはらわた』を思い出した)。そういう意味ではこの映画、大予算をかけて作られたゾンビ映画なのではないか、という気がしないでもない。とにかく、ディカプリオ演ずるヒュー・グラスの死なないっぷりは特筆すべきものがある。その代わりになのか、彼に同行する人間はバタバタ死んでいく。ディカプリオが森の中で銃を撃つ度に何か不吉な予感が走る。それは、彼以外の誰かがまた命を落とす死の予兆なのだ。