事件前夜

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エンニオ・モリコーネ追悼

エンニオ・モリコーネが2020年7月6日に死去した。享年91歳である。映画音楽を手掛け始めたのが1960年代、それから2010年代までおよそ60年近くも第一線で活躍していた。近年は新作の話も無かったと思うので、すると彼が最後に音楽を手掛けた映画はジュゼッペ・トルナトーレの『ある天文学者の恋文』という事になるのだろうか?まあ、観ていないんだが…それどころか、『ニュー・シネマ・パラダイス』も『海の上のピアニスト』も未見なので、私はモリコーネの主要な仕事について何も知らない、という事になる。何しろ、『ゴッドファーザー』の音楽がモリコーネだと思っていたぐらいだから…しかし、ニーノ・ロータもイタリア出身だから当たらずとも遠からず、と言えなくもない、と適当な事を書いてみる。
ただ、フェリーニヴィスコンティルネ・クレマンといった名だたる監督と仕事をしたインテリっぽいニーナ・ロータと違い、セルジオ・レオーネセルジオ・コルブッチのマカロニ・ウエスタンの音楽で注目され、その後もジャーロ作品を作っていた頃のダリオ・アルジェントと仕事をしていたモリコーネは、もう少し下世話というか、大衆的な感じがして、その辺りが映画音楽家として成功した理由なのだろう。もちろん、ベルトリッチやパゾリーニといったイタリアの名監督たちとも組んでいる訳だが、ハリウッドと仕事をする様になってからも『遊星からの物体X』とか『エクソシスト2』とか『ミッション・トゥ・マーズ』といった、何で引き受けたのかよく分からない作品の音楽を担当していたりもする。しかし、どんなジャンルの映画であっても映画の空気に合わせた、というよりその映画のムードを音楽で決定づけてしまう様なフックの強さ(荒野の用心棒なんかその典型)がモリコーネの特徴なのかもしれない。近年ではクエンティン・タランティーノとの仕事が有名だろうか。セルジオ・レオーネを敬愛するタランティーにとって、モリコーネに自作の音楽を担当してもらうのは悲願だったらしく何度もラブコールを送っていたらしい。『ジャンゴ 繋がれざる者』では断られ、仕方なく過去作品のサントラを当て込んだらしいが(その方がタランティーノっぽいが)、『ヘイトフル・エイト』では念願かなってオリジナル楽曲の提供を受け、モリコーネアカデミー賞作曲賞を受賞する事になった。しかし、私は『ヘイトフル・エイト』もAmazon prime videoのウィッシュ・リストに入れたまま観ていない。
とにかく膨大な量の映画音楽を手掛けたエンニオ・モリコーネの仕事を全て追い掛けるのは非常に大変である。音楽云々の前にほとんどの作品を観ていないのだからどうしようもない。彼が関わった映画をほぼ網羅、紹介した『エンニオ・モリコーネ映画大全』という本が洋泉社から出ていたが、洋泉社の吸収合併もあって現在は絶版となっている。まだ一部の書店には在庫が残っている様なので取り寄せて読んでみるか。といって、どうせ積読本が増えるだけなんだが。

 

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それにしても、宝島社も変わっちまったなあ…