事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

2019年公開映画ベスト10

12月公開の映画を1月に入ってからも追い掛けていたので遅くなったが、2019年の個人的ベスト10を書いておく。日本での公開日が2019年の作品に限り、4Kデジタル版などのリマスター作品は除外した。
 
 
①を2019年のベスト1に挙げる人はほとんどいないと思うが、個人的には最も心を動かされた1本。ここまでトチ狂った物語に、なぜこんなにも泣かされてしまうのか。②は現代にフェリーニが蘇ったのかと驚かされた1本。キュアロンの映画はほとんど観ていないのだが、ハリウッドでエンターテインメント映画を手掛けていた監督がここまでの作品を撮ってしまうとは。イ・チャンドン久々の新作である③は、村上春樹の原作をきっちりと踏まえながらも徹頭徹尾、韓国映画として撮られている点に感心するばかり。3時間半にわたって図書館員が働く姿をただ映しているだけの④に、なぜこんなにも興奮させられるのか。観終わった後、とにかく元気になれる映画だった。ほんわかした恋愛映画かと思いきや、難解とも思えるラストに唖然とさせられる⑤、史実に基づいた犯罪実録ものかと思いきや、噴飯もののラストに爆笑させられる⑥、どちらも作り手の志の高さが窺える。ロジャー・コーマンの門下生であり、映画の見世物としての側面について誰よりも熟知しているマーティン・スコセッシが、初めて映画の興行成績に背を向けて製作した⑦は、今後の映画のあり方について再考を促す傑作。⑧は反対に、見世物としての映画に徹底してこだわった快作だった。アレクサンドル・アジャは、やはり信頼できる。⑨は深田晃司の『よこがお』と入れ替えようか最後まで迷ったが新人らしい勢いの良さを評価して。⑩は努力賞。頑張ったね。
この10本を統括したテーマとか共通点、などは全く無い。私はそういう独りよがりのでっち上げが嫌いなので。それにしても、今年は劇場での鑑賞100本を目標にしていたのに、結局未達のまま終わってしまった。気になっていたにもかかわらず見逃してしまった映画も多い。来年こそもう少し時間が取れればいいのだが…