ロバート・ロドリゲス『アリータ:バトル・エンジェル』
木城ゆきとのコミック『銃夢』がハリウッドで映画化される、というニュースが流れたのは2003年の事。当時は私も原作を読んでいたので非常に興奮した覚えがあるが、それから15年何の音沙汰も無かったこのプロジェクトが遂に実現のはこびとなった。ジェームズ・キャメロンが『アバター』の続編で多忙な為(この『アバター』続編の話もそろそろ忘れられてしまいそうだが)、監督は『スパイキッズ』や『シン・シティ』のロバート・ロドリゲスにバトンタッチ、キャメロンは製作と脚本に回る事となった。
個人的に、このロバート・ロドリゲスとジェームズ・キャメロンという組み合わせは、非常にしっくりくるものがある。両者とも非常にインパクトのある画作りに長けているところ、ストーリーの運びが大味で演出のテンポが悪いところが共通しているからだ。
という訳で、この2人がタッグを組むとなれば、さぞかしビジュアル優先のもっさりした作品になるのだろう、とあまり期待していなかったのだが…意外や意外、小気味良いアクションの連続で楽しませてくれる良作に仕上がっているではないか。コミックの序盤に焦点を絞って映画化しているせいか、話運びもスムーズで、いつもの強引さが感じられない(見せ場を優先するあまり、何でそんな所へわざわざ出かけていくんだ…?とか、どうやってそこへ辿り着いたんだ…?と思う事は何度かあったが)。
『アバター』以降、キャメロンが追求してきた3D表現はいよいよ洗練され、原作ではそれほど感じられなかったサイバーシティの空間的広がりも生き生きと描かれており、コミックの映画化としては理想的なグラフィックに仕上がっている。後、私は3D字幕版という珍しい形態で観賞したのだが、このバージョンだと台詞字幕が話者の近くに配置され、未来の3Dコミックを読んでいる様な気になれた。
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