事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

スティーヴン・キジャック『WE ARE X』

 

WE ARE X Blu-ray スタンダード・エディション
 

最終的に、YOSHIKIとTOSHI、HIDEの友情物語に収斂してしまう事に不満を覚えはするのだが(何しろ、ここまでバンド内のゴタゴタが大っぴらになったバンドは他に無いのだから、もっと下世話な暴露話を期待してしまうのが人情というものだ)、結局バンドというのはそういうものなのだろう。いみじくもYOSHIKが語っているとおり、彼らの人間的な繋がりこそがロックバンドとしてのグルーヴを生み出していたのだ。しかし、その繋がりはショービジネスという巨大な産業に巻き込まれ、ズタズタに切断されてしまう。その痛みを創作の源として新たな音楽を生み出していくYOSHIKの姿には、巨大なナルシシズムを感じさせながら、孤独な求道者としての面影がつきまとう。X JAPANの音楽に興味の無い人にもぜひ見て欲しい1本である。