事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

東陽一『だれかの木琴』

 

だれかの木琴 [DVD]

だれかの木琴 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2017/03/08
  • メディア: DVD
 

誰もが孤独を抱えている。その孤独をつかの間でも埋めてくれる相手を探している。誰かと誰かが触れ合う瞬間、お互いの孤独が混ざりあって、自分だけの音楽が心の中で鳴り響く。だが、音楽はやがて終り、人はまた自らの孤独と向き合う事を強いられ、再びまだ見ぬ誰かを探し求めて彷徨う。その意味で、美容室やブティック、酒場とはつかの間のコミュニケーションを求める人々の孤独が交錯する場所なのだ。テーマと舞台設定、役者の演技が上手く絡み合った一作だと思うが、すこし饒舌に過ぎた気がする。ワンショット、ワンシーンで説得力を持たせる事のできる監督なのに、台詞で説明し過ぎる場面が多い気がした。後、今では美容師をやっている主人公が、昔の俺はワルだったんだぜ、とひとりごちる場面で、箪笥かどこかにしまい込んでいたジャックナイフを取り出してじっと眺める、という演出はいくら何でもダサ過ぎる。そんな奴いるか。