事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

リドリー・スコット『オデッセイ』

 

オデッセイ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
 

これは、配役の勝利だろう。火星にひとり取り残された男の物語を、悲壮感の欠片もなくポジティブに描ききる事ができたのは、ひとえにマット・デイモンの功績である。ものすごく頭が良さそうにも、ただ脳天気なだけの男にも見える彼の不思議なキャラクターが、緻密さと馬鹿馬鹿しさを合わせ持った火星脱出作戦を支えている。少し楽天的過ぎる向きもあるが、いいではないか。宇宙を前にした途端、深刻な顔をして深淵とか神秘と言い出すのは、人類の悪い癖だ。