ダン・ギルロイ『ナイトクローラー』
すでに私達は、物質と情報を分け隔てる事なく、商品として流通させている。高級ブランドのバッグなど、バッグそのものより、ブランドという情報に対価を払っている様なものだ。問題はその情報とやらが身体的な感触を伴うものではない為、幾らでもねつ造する事ができるという点にある。商品になる情報が欲しければ、自らの手で作ってしまえば良いのだ。悲惨な事件現場を漁って夜の街を駆け抜けるナイトクローラーの世界に身を投じた主人公は、やがてその真理に行きついてしまう。彼のとった行動は、果たしてそれほどインモラルなものなのか?せいぜい、高級ブランドのコピー商品を作ったのと同程度なのではないだろうか。いや、それどころか彼は死の情報のデザイナーとして、新たなブランドを作り上げたのだ。