事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

緊急事態不機嫌日記(4/8~4/11)

4/8
いよいよ、緊急事態宣言が布告された。これでしばらくの間、映画館に行く事もできなくなるだろう。仕方がないので、これからは備忘録的な日記を書いていく事にした。
1日ずつ交代でテレワークと通常出勤を行う、というのが現在の勤務状況で、本日は通常出勤の日にあたる。帰宅途中の電車内でジョン・フォード荒野の決闘』を鑑賞。有名なOK牧場での決闘を描いているとはいえ、邦題から想像する様なガンアクションで魅せる類の映画ではない。歌と踊りが荒野に満ちわたる、詩情豊な人間ドラマである。
4/9
本日はテレワークの日である。どうせ暇だから勤務時間中に映画でも観るかと思っていたが何だかんだとやる事があり、『ババドック 暗闇の魔物』を観れたのは夕方を過ぎてからだった。
現在のところ、映画館で最後に観た映画である『ナイチンゲール』のジェニファー・ケントのデビュー作だが、ニューロティック・スリラーとオカルト・ホラーの要素を巧みに融合した傑作だった。『ヘレディタリー/継承』が話題になった時、この作品を持ち出す人がいなかったのが不思議だ。
その後、ブログ記事の為にキム・ソンス『FLU 運命の36時間』と深作欣二復活の日』を鑑賞。さすがにこれだけパンデミック映画ばかり集中して観ていると、だいたい似たようなパターンである事に気づくが、この2作はその定型から外れる部分が多々あって面白い。まあ、『復活の日』は定型を作った側だと思うが。
4/10
出勤日。非常事態宣言を受けて、小池都知事が商業施設に対して休業要請を発布した。その中には、映画館も含まれている。おそらく、大阪もこの動きに追随するだろう。東京や大阪にあるミニシアターや名画座はどうなってしまうのか。安倍政権はあくまで休業は自己判断であり、従って補償は行わないと言っている。安倍とか麻生とかいったクソどもがのさばっているおかげで、こうやって日本の文化が次々とは破壊されていく。ゴミために落ちて死ね!
『あつまれどうぶつの森』でひたすらアサリを掘り返した後、瀬々敬久『感染列島』を鑑賞。思ったよりよく出来ていたが、例えば恋人が死んだ後に主人公が一本道を走り続け、途中で立ち止まって「うおおぉぉ!」と泣き叫ぶとか、あまりにもありきたりな演出にはげんなり。口直しにジョン・カサヴェテスアメリカの影』を鑑賞。全編にわたって即興演出で撮られた本作の生き生きとした佇まいはどうだろう。わざとらしい演出など無くても、これだけ豊かな映画が作れるのだ。
4/11
朝から『あつまれどうぶつの森』の釣り大会に参加。島を訪れたジャスティンというビーバーに釣った魚を渡すとオリジナルの家具がもらえる上、高額で買い取ってもらえる。アサリを掘り出し、撒き餌を作り、魚を釣る。この単純な作業をひたすら繰り返し、建設途中だった橋の費用を全額支払った。その後、ピーター・ジャクソン『彼らは生きていた』を鑑賞。この作品は、劇場公開とほぼ同時期にネット配信が開始されたがどういった意図があったのだろうか。敬服すべき熱意と手間の掛かった映画だが、本作に費やされた膨大な作業を支えたのは、意外にピーター・ジャクソンのオタク気質なのかも知れない。
4/12
どうしても我慢できず、ユナイテッド・シネマ橿原で上映中の『娘は生きていた』を観に行きたいと妻に申し出るが激怒され、断念。もうこの作品を劇場で観る機会は失われてしまった。腹が立って仕方がないので、一日中部屋に閉じこもりポール・シュレイダー『Mishima - A Life in Four Chapters』、ティム・バートンビッグ・アイズ』、ジョン・スーツ『PANDEMIC パンデミック』、クリス・マルケルラ・ジュテ』、ジョン・カーペンターダーク・スター』と一気見。『ダーク・スター』のビーチボールみたいなエイリアンとラストの宇宙サーフィンに癒される。それにしても、『ビッグ・アイズ』の主人公を救ったのがカトリックでもメソジストでもなく、エホバの
証人の教えだというのは、なかなか微妙な問題である。