事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

緊急事態不機嫌日記(5/11~5/17)

5/11
Twitterで「検察庁法改正に抗議します」というハッシュタグの付いた投稿が500万件あった、と話題になっている。これに対し、安倍応援団の方々は「左翼による動員だ!スパム投稿だ!」と陰謀論を唱えてご立腹の様だ。その後、このハッシュタグの付いた投稿が大量に削除されるに及んだ様だが、そうすると反安倍陣営は「Twitter社による工作だ!きゃりーぱみゅぱみゅが投稿を削除したのも圧力だ!」とこれまた陰謀論を唱えて怒りが収まらない様である。要するに、この国では右派と左派がSNSをフィールドに暗闘を続けており、様々な陰謀や工作が飛び交っている、という事らしい。
それにしても右派左派ともに根拠のない陰謀論をぶち上げて、お互いが疑心暗鬼になっている状況にはうんざりする。こうした陰謀論コロナウイルスを巡る人々の思考や行動にも顕著に見られる。これは、逃避の一形態であろう。どうしようもなく醜悪で残酷なな現実に対し、誰かが裏で操っていると思う事で自らを免責しているのだ。まあ、馬鹿は馬鹿で勝手にいがみ合ってりゃいいのだが。
明日は通常出勤の為、気分的に落ち込む。特に何もする気が起きず、晩飯の後はすぐに寝た。
5/12
通常出勤。夜中、寝ようとすると警察から電話が掛かってくる。母親が死んだ筈の父親が現れたとか、失踪してからずいぶん経つ妹を探してくれとか、よく分からない事を交番に言いに来てるんですが、との事。頭がボケてきてるんで、と説明し、自宅に送り届けてもらう。
またか…今年に入ってから幻覚が見え始めたらしく、しょっちゅう電話が掛かってくる。今までは直接電話を掛けてきたのだが、こちらが相手にしないので警察に駆け込んだのだろう。私は幼少時から虐待を受けていた事もあって(妹が失踪したのもそれが原因)、結婚し子供ができた今も、母親とは関わり合いになりたくない。個人的に絶縁状を取り交わした事もある。それでも、これまで散々トラブルを起こし巻き込まれてきた。それは本当に、思い出したくもない地獄の様な日々だった。ようやくそうした問題が片付いたと思ったら、今度は母親の認知症である。そもそも母親の事が死ぬほど大嫌いで、単なる責任感や諦念だけで事に当たらなければならないのが、本当に気が重い。
警察に送り届けられてきた頃合いを見計らって、母親に電話。話している間、いっその事、さっさと死んでくれないかな、と思う。
5/13
テレワーク。昨日の件で精神的に落ち込んだまま。Suicideとか三上寛とか聴きながら仕事をして更にやさぐれた気持ちになる。どうせ自分なんて他人の勝手に振り回されるだけで、ロクな人生を送れないんだろう。もう何もかもどうでもいい、と割り切れたらどれだけ楽か。結局、何か問題が起きれば嫌々ながらもそれに対処せねばならず、身も心もボロボロになる。しかし、他人はそんなの知った事じゃない、とばかりに、また無理難題をこちらに押し付けてくるのだ。本当にもう、いい加減にしろよ!俺は他人に迷惑をかけず、また迷惑をかけられず、ひっそりと生きていたいだけなんだ!別に望んで生まれてきた訳でもないのだから。
夕方、アレハンドロ・G・イニャリトゥ『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を鑑賞。イニャリトゥは『バベル』『レヴェナント:蘇えりし者』に続き、3作目。全編、ワンカット長回しを模した映像で、まあすごい事をやっているのかも知れないけど何の意味があるんだ?と疑問に思っていたが、後半の展開になって納得。これがマジック・リアリズムなのかと問われればよく分からないが…それはともかく、アントニオ・サンチェスによる、ストーリーに合わせたドラムソロは良かった。以前に遊んだ、ゴリラが人をぶん殴って殺しまくる『Ape Out』というゲームも、これと同じような発想なのだろう。
5/14
とりあえず、私の住む奈良県では緊急事態宣言が解除された。休業要請の解除基準(大阪モデル?カッコつけてんじゃねえ!)達成に伴い、大阪府でも感染症対策を実施した上で各商業施設が営業を再開していく事になる。という事は、映画館も営業を再開してくれるのかな、と思うのだが今のところそうした情報は入ってこない。もうそろそろ、この日記もやめたいんだが…
テレワーク終了後、ジョルジ・パン・コスマトスカサンドラ・クロス』を鑑賞。挿入歌の「愛のテーマ」が良いなあ…ただ、映画の内容とあんまり関係ないような気がする。新種の伝染病に罹患したテロリストがジュネーヴからストックホルム行きの大陸横断鉄道に逃げ込んだ。本来ならすぐに列車を停車させてしかるべき処置をとるべきなのだが列車は走り続ける。なぜなら、伝染病が蔓延した列車を自国内で停める事を各国が嫌ったからだ。何となく、クイーン・エリザベス号を想起させる話だった。『ランボー/怒りの脱出』の監督らしく、アクション/サスペンス映画としてはツボをおさえた作り。暴力描写は比較的抑えめだが、ラストでいきなり鉄骨が腹にぶっ刺さるシーンが出てきてびっくりした。
5/15
悩みに悩んだ末、楽天で本棚を購入。以前に購入したIKEAのBillyは、あまりに大量の本を収納していた為、棚板がどんどんたわんできていて、買い替えたいと思っていた。先日の妻への誕生日プレゼントに続き、3万円の出費は痛いが…しかも、自室の壁一面に設置したBillyを全て買い替えるとなると、ゆうに10万円は超える事になる。そんなに一気に買い替えるお金も、本を入れ替えるスペースも無いのでひとつずつ購入していく事にした。入れ替えが完了するまで、何年掛かるだろうか…とりあえず、いらなくなったBillyの処分方法を考えなくては。
その後、Youtube国会中継を見る。この法改正、様々な人が様々な意見を述べているが、結局は安倍政権に対する信頼をどこまで持っているか、という点だけで賛否が分かれている様に思う。安倍の決めた事にうさん臭さしか感じない人々と、安倍の決めた事なら唯々諾々と従う人々の際限なき罵りあい。だから「政治的な発言をするならもっと勉強しろ」とか言ってる奴は無視していいんだよ。誰もこの問題の本質が何なのか分かってないし、それぞれが見たい部分だけ見て批判したり擁護したりしてるだけなんだから、政治や法律について勉強なんかしてなくても、何となく気にくわないって理由で批判したってかまわない。そもそも、選挙だってよく分かってないまま、皆が投票してるんだし。勉強、などという言葉が抑圧にしか働かない状況は不健全だと思う。
5/16
アンドレイ・タルコフスキーノスタルジア』を鑑賞。いやあ、眠たくなるなあ…しかし、眠たくなるから面白くない、という訳でもない。世の中には眠たくなる名画、というのが存在するのだ。その筆頭としてタルコフスキーを挙げておこう。といっても、『惑星ソラリス』ぐらいしか観てないんだけど。しかし、タルコフスキーが難解という訳でもない。そもそも、映画に難解とか簡単とかいった判断基準は無い訳で、『ノスタルジア』だって「ああ、何か寂しそうなおっさんがウロウロしてるな…」という理解で十分なのだ。それにしても、この映画の照明は本当に凄い。なぜこんな事が可能なのだろうか、魔法としか言いようがない。撮影を担当したジュゼッペ・ランチの力なのか。イタリアの陽光が可能ならしめるのか。本当に分からない。
続いて、『ユーリー・ノルシュテイン傑作選』を鑑賞。『霧の中のハリネズミ』は本当に可愛いなあ…非常に膨大な手間の掛かった作品らしいが、そんな事はさておいて「カワイイ」という感想しか出てこない。
5/17
朝から「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」をプレイ。そろそろクリアしないと、と思ってはいるのだが、ミニゲームのビーバーレースにやたらと苦労する。ゼルダシリーズのこの手のミニゲームは変に難易度が高くてイライラするものが多い。攻略動画などを見て数時間チャレンジし続け、やっとハートのかけらをゲットするも、そこで力尽きてやめてしまった。
その後、「バイオショックコレクション」「あつまれどうぶつの森」「テトリス99」とひたすらゲーム。今日は全く映画を観ない1日だった。夕食時、些細な事で妻と諍い。精神的に辛い日々が続く。