事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

コラリー・ファルジャ『REVENGE リベンジ』

 

REVENGE リベンジ [DVD]

REVENGE リベンジ [DVD]

  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: DVD
 

とあるインタビューで、監督はインスパイアされた作品として『キル・ビル』や『ランボー』を挙げているが、最も影響されたのは西部劇、それも『女ガンマン/皆殺しのメロディ』に代表されるマカロニ・ウエスタンだろう。そうすると、本作のどぎついゴア描写はイタリアン・ホラーの帝王ルチオ・フルチに対するオマージュなのかも知れない。主人公のどてっ腹に木がぶっ刺さる場面など、『サンゲリア』を思わせるではないか。
もちろん、腹に刺さったこの木杭がペニスの象徴である事は間違いない。男は女の体内に異物を侵入させる事により、暴力的に支配関係を成立させようとする。ならば、レイプ被害に遭った主人公が、腹に刺さった木杭を引き抜く場面には、その支配関係を内側から食い破り、逆転しようとする意思を感じるべきだろう。実際、この映画で殺される男たちは、ナイフやガラス片といった異物を体内に打ち込まれて死んでいく。ここでは、性行為における「支配-被支配」の関係性が逆転している。本作のゴア描写には、露悪的な意味合い以上の必然性があるのかもしれない。