事件前夜

主に映画の感想を書いていきます。

テイト・テイラー『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』

 

とにかく、リズムだ。メロディやコード進行なんて問題じゃない。繰り返されるビートが眠りこけていた意識を覚まし、生み出されたグルーヴが身体を激しく動揺させる。それだけが、音楽にとって大切な事なのだとJBは言う。凡庸なドラマ性を軽蔑し、反復の不毛さを恐れないJBの生涯を描いたにしては、いささか大げさに「天才の孤独」を強調し過ぎた感はあるが、我々凡人が彼の哲学に触れるには、これぐらい噛み砕いてくれた方が良いのかも知れない。チャドウィック・ボーズマンのなりきりぶりが素晴らしい。