ジョン・クラシンスキー『クワイエット・プレイス』
結局「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の「サイレント図書館」とやってる事は同じなのだが、「音を立てたら即死」という縛りが、ありきたりの侵略SFにフレッシュな緊張感を与えている。ただでさえストレスの掛かる環境下に「足に釘がぶっ刺さる」とか「子供を出産する」という無茶ぶりを次々と放り込むのだから、観客はマゾヒスティックな緊張感と共にサディスティックな快感も覚える事だろう(そもそも、エミリー・ブラントはこういうひどい目に遭う役がよく似合う)。ひとつのアイデアが映画的豊かさを生むというB級映画の肝を、この監督は熟知している様だ。エイリアンの弱点があまりにもくだらないのは『宇宙戦争』へのオマージュか。あざといまでにカッコよく決まったラストシーンがまたB級映画らしくてほほえましい。